冬の読書「ぼくとベルさん」
あけましておめでとうございます。
やり残した掃除、年賀状…いろいろありますが、見なかったことにしてゴロゴロして元旦を過ごしました。
どのようなお正月を迎えられたでしょうか。
秋頃から何冊か本を読んでいます。
普段全く本を読まない中学生にも勧められる本はないかなと思って、エッセイ、ノンフィクション、児童文学、推理小説などいろいろ。
アキとの勉強会では国語はやっていないのですが、読解力とか以前に読めない漢字が多いんですよね。ただ、国語の成績は他の教科に比べると良い方なので、どうしても後回しになっているのですが。
その代わりに、英語、数学も教材の問題文、解説などを音読してもらい、漢字を読めてるか、文意を理解出来てるか確かめながら進めています。
漢字ドリルをやってもらう余裕もなさそうだったので、学校の朝読書で本をしっかり読むことを勧めたところ、
「学校の朝読書でいま何読んでる?」
「何回か読んだ学校の本をずっと読んでる」
「…な、なんで!?」
「新しい本買いに行けてなくて(^^)」
「そうなんだ…」
という状況だったので、私が本を用意して渡すようになりました。
たぶん、本にあまり興味がないんだろうし、どんな本を選べば良いかもわからないんだろうなと思います。私も中学生のときは本読んでなかったので、気持ちは分かるんですよね。
中学生におすすめの本で探していくと、一般図書であることが多いのですが、アキにはちょっとハードルが高いかなと思っていまして。
話の筋が分かりやすい、分厚すぎない、ふりがながある、などの条件で探していると、小学校高学年向けの児童書に行き着きます。
そんな中、すごく面白かったのが「ぼくとベルさん」です。
ぼくとベルさん
1900年頃のカナダが舞台。主人公のエディは読み書きが苦手で、左利きでもあることから、尊敬する両親に落胆され、姉弟、友達からも軽んじられる。でも数学はすごく得意。
発明家のベルさん(アレクサンダー・グラハム・ベル)やヘレン・ケラーとの出会いを通じて、成長する過程が書かれています。
「たぶん、農夫になると思います。どうも読み書きがあまり得意じゃなくて・・・。それでも母さんが言うには、農夫にだったらなれるって」
ベルさんは、まゆをひそめた。
「そうなのかい? で、きみは農夫になりたいのかね?」
「わかりません。でもその、もしそれしかないのなら」
それを聞いたベルさんは、まるで馬のように大きく鼻を鳴らした。
「読み書きができないって、だれに言われたんだね?」
「みんなです」
「そうか、なるほど。そういう”みんな”とやらに、わたしも以前会ったことがあるよ。でもまあ、”みんな”の方がまちがっていることがほとんどだったがね。(以下略)」
(中略)
「いいかい、人が何かをできるようになるのは、できるようになりたいと思う心があるからだ。人が本気でできるようになりたいと願うときに、その想いを止められるものなど何一つない。きみの言う”みんな”とやらが、まちがっているだけだ。」
無理解や偏見の中でも、粘り強く困難に取り組むエディ。やがてエディの才覚に周囲が気づいて徐々に関係性が変わっていく。このまま終わるのかと思っていたら、終盤にもドラマが用意されていてハラハラしながら読み終わりました。
埋もれた数学の才能が人との出会いを通じて開花していく筋が、ロビン・ウィリアムスとマット・デイモンの映画「グッド・ウィル・ハンティング」を思い起こさせます。
いつの間にか、私が読書に夢中になっていました。
あたたかく、熱いストーリー。この本は史実を考慮したフィクションで、児童文学に分類されるようですが、いい本はどの年代が読んでもいい本だなと思いました。
出版社のリンク張っておきますね。