音読する中学英語

中学英語とオンライン勉強会について記録するブログです。

英語嫌いの音読練習のはじめ方

英語を聞くこと、声に出して読むことに少しずつ慣れてきた教え子のアキ。英語が嫌いという気持ちは未だに強いですが、英語の音声と語順に慣れてもらうために、CD音声を使った音読練習を少しずつ始めています。

英語が嫌いでも始められる、ストレスは少なめで、でも効果は一定程度見込めそうな音読練習の導入を模索していました。

オンライン勉強会の開始から約1ヶ月を経て、現時点の取り組みをまとめます。 

一人でも練習しやすい道具で

苦手意識が強い場合は、英語を聞くこと、声に出して読むことにも抵抗があるため、指導者と一緒に練習するのが基本になると思います。

もし家族が毎日のように練習に付き合えるなら良いのですが、そうでない場合は、慣れてきたら一人で練習することも見越して道具を揃えると良いと思います。

音声を使った音読練習には音源と再生機器が必要になりますが、本人一人での扱いやすさから、アキにはCDとCDプレーヤーを選びました。

最近はCDプレーヤーも語学学習用にいろいろ売られています。価格は3千円ぐらいから。値段は少し上がりますがスピードコントロールが付いていると便利です。こんな感じのもの。

東芝 ラジカセ TY-C300

CDではなく、スマホタブレット、パソコンで音声ファイルを扱う方が操作性は高いのですが、一人で自習するには、インターネットとの接続を断った方が集中しやすいだろうと思い見送りました。

他の候補に携帯音楽プレーヤー(mp3プレーヤー)があります。パソコンで音声ファイルを取り込んでプレーヤーへ転送するひと手間がありますが、使用するときは手軽です。価格は3千円前後。機能が絞り込まれていて、性能が高くないものが集中できてかえって良いと思います。

Victure MP3プレーヤー 最大100時間音楽再生 超軽量 無損音質 8GB内蔵容量 最大64GBまで拡張可能 イヤホーン 1.8TFT画面サイズ FMラジオ ボイスレコーダーTranscend MP3プレーヤー MP330 8GB ホワイト TS8GMP330W

やさしい教材から始める

英語嫌いをこじらせている場合は、be動詞と一般動詞の区別もあやしいのではないでしょうか。Are you like~?みたいなbe動詞と一般動詞を混ぜた文をつい作ってしまう。

この場合、思い切って中1まで戻るのが良いと思います。急がば回れです。

教材はいろいろありますが、いま使っている「わからないをわかるにかえる中1英語」(文理)は入門書としておすすめできます。小学生でも指導者や親が付いていれば出来ると思います。(詳しくは過去の記事にて)

音声の使いやすさ

音読練習には、上述の「わからないをわかるにかえる中1英語」の付属CDを使用しています。買う前はあまり期待していなかったのですが、このCDがちょうど良く出来ています。

CDには問題文の音声が収録されています。5語前後の短い単文が1単元あたり10文ほど、音声はゆっくりで、繰り返し音読するための間隔があいています。

一度解いた問題文を読むため、気持ちの面でもハードルを下げることができます。

中1の教科書を使おうとも思ったのですが、市販の教科書ガイドCDには繰り返し音読するための間隔はなく、スピードがやや早いなど、少し対応が必要なので今回は見送りました。*1 (教科書ガイドCDについては過去の記事で少し言及していますのでこちらを)

無理のない練習方法で

ここでの音読練習は文字と音声を一致させ、語順を定着させることが目的です。

具体的な音読の練習方法ですが、繰り返す回数、分量などいろいろ試したところ、いまは以下の方法で音読練習を進めています。

  1. 問題を解くときに本人に声に出して英文を読んでもらい、読み方を随時修正する
  2. 問題の答え合わせ、文法・単熟語の確認を一緒にした後に、私が問題文を読み上げ、繰り返して音読してもらう。読み方がひっかかる文は繰り返す。
  3. しばらく期間が経過して忘れかけた頃に、復習として再び同じページをCD音声に続いて音読してもらう(2~3ページを1回。CDの操作は自分でやってもらう)
  4. 3で復習したページの音読を宿題に出す。宿題では1人でCD音声に続いて、教材を見ながら音読してもらう。回数指定はなし、スラスラ読めるようにとの声がけのみ。
  5. 宿題の確認として、CD音声に続いて、教材を見ながら音読してもらう
  6. 【今後やる予定】さらに期間が経過して忘れかけた頃に、復習したページの音読を5~6ページまとめて宿題に出し、宿題の確認時に音読してもらう

いまは教材を早めに進める必要があるため、同じ箇所を集中して何度も読むやり方ではなく、読むタイミングをずらして復習の手段として取り入れてます。

最初はつっかえる箇所が多かったのですが、1ヶ月経過し随分スムーズに読めるようになってきました。

英語を聞いて声に出して読むという行為は、黙って問題を解くのとは別の労力を使うので、機会を分散させ、分量は少なめにして、これ以上嫌いにならないようにしています。

英語嫌いをどう克服するか

英語嫌いを克服するために、どのような方法が適切で注意が必要か、経験豊富な指導者の考え方を以下の本*2で学んでいたのですが、読んでいると切なくなるほどいろんな英語嫌いの場合が出てきます。

よくあるケースとして言及があったのは以下のような場合。

  • 読めない(発音)から嫌いになった場合
  • 先生が嫌いで英語が嫌いになった場合
  • 授業が分からないから嫌いになった場合
  • 幼稚園、小学校のときに親に英語を無理強いされて嫌いになった場合
  • 中学受験でつまづいて勉強自体が嫌いになった場合
  • 中高一貫校で検定外教科書の難易度についていけなくて嫌いになった場合

安河内 哲也 著『英語は音読で伸ばせ!こどもを英語好きに変える、中学からの勉強法』

アキは上3つの嫌い(読めない、先生嫌い、授業分からない)にあてはまりそうですが、それに対する助言として記載されていた箇所を簡潔にまとめます。

  • テストの点数は一旦棚上げして基礎に戻る
  • 楽しく英語を教える指導者のもとで語学学習への関心と意欲を取り戻すこと
  • 英語のDVDやゲームなど別の方向からも働きかけてみる
  • 授業や教材は、そのときどきの主要ポイントだけに集中しすぎてしまうため、すでに終わった項目を忘れがち。全体を常に概観させる練習を中2までは徹底する

私もテスト、成績表の結果を聞くたび、どうしても点数に気を取られていましたが、それは一旦棚上げして、わかる、出来るを実感して楽しんでもらうことを目標にします。(ありがとう!安河内先生)

また、最後の”全体を常に概観させる練習”として「時制マスターシート」*3が紹介されているのですが、これは苦手な中学生にすごく使えると思いました。

英語学習のバランス

著者の主張が最もわかりやすくまとめられた箇所を引用します。語学は練習、実技であることが、キーワードとして著書で繰り返し言及されています。

 学校でも塾でも、やっていることのひとつひとつはまったく間違っていないのですが、日本人の英語の勉強法で問題になるのは、バランスだと思います。英語はバランスが重要な科目です。練習を重視しなくてはならない実技なのです。

 机での作業はかたちとして残ります。しかも頭をあまり使わないので、楽です。楽だからついついそちらに流されてしまいがちです。

 しかしながら英語は実技です。このことをしっかり親子で確認しましょう。英語に費やす時間が、机に向かっている時間ばかりにならないように、くれぐれも気をつけましょう。

 とにかく机から離れます。そして英語を声に出して読みます。スピードを身につけます。こうして最終的には使える英語を重視した練習をしていきましょう。

 机にかじりついて勉強していた世代はいまや「英語難民」などと言われることがあります。一生懸命やってきたにもかかわらず、どうしてそのように言われてしまったのかをよく考えるべきなのでしょう。わたしたちは、新しい世代が同じようにならないように真剣に考えていかなければならないと思います。(以下、略)

 

引用元:安河内 哲也 著『英語は音読で伸ばせ!こどもを英語好きに変える、中学からの勉強法』, 桐原書店, 2010, 195頁-196頁

そして、このバランスは学校任せではなく、家庭でコントロールする必要があると最後に指摘されています。

中学生には自分でバランスをとることは難しいので、誰かのサポートが必要と思いますが、高校生になったら自分で主体的に取り組んでほしいところです。アキが高校生になったら、著者の方法論がまとめられたマンガ本を勧めてみようと思っています。

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*1:再生機器やソフトでその都度一時停止をする、スピードを調整する、音声ソフトで間隔を編集するなどで対応できます。

*2:大学受験から逆算して、公立中学、中高一貫校の中学生がそれぞれいつ何をどう取り組む必要があるのかなど、様々な助言が載っていますが、ここでは英語嫌いをどう克服するかの項目に絞ります。

*3:一つの例文を、現在形、過去形、現在進行形、過去進行形・・・など時制ごとに肯定文、否定文、疑問文、応答文へと一気に書き換えていくパターンプラクティスです。